天草製作所本店のすぐ隣では、いまマンションの建設工事が進んでいます。
その現場で毎朝、笑顔で挨拶してくださる方がいます。
ヘルメットに反射ベスト、安全旗を持ったその方こそ、今日の主役。
80歳の現役交通警備員さんです。
「おはようございます」
「今日も暑いですね」
「お疲れさまでした」
一日数秒のやりとりですが、この方の笑顔と声で、天草製作所の1日が始まります。
正直、この仕事はキツイと思います。夏は炎天下、冬は極寒。
通行人の無理解やクレームもあるでしょう。
それでも、毎朝まっすぐ立って、まっすぐ笑って迎えてくれるその姿に、尊敬の気持ちが湧きます。
本日、思い切って声をかけてみました。
「ブログに出ていただけませんか？」
すると、お父さんは少し驚いた顔で、でもすぐに
「俺なんかじゃもったいないよ、フィルムが」って照れ笑い。
いや、デジタル時代です。フィルムじゃないけど、その言い回しがもう最高すぎる。
少しだけお話を聞かせてくれました。
・65歳まで川崎製鉄に勤められていた
・その後、子会社で5年働いたあと、71歳で警備の仕事を始めた
・年金は充分もらっているけど、仕事していた方がいいからね、と
・毎日ここに立って、子どもたちや近所の人と挨拶するのが楽しみなんですって
そして、「やっぱり顔つきは仕事に出るんだよ」と静かに言われた一言に、思わず背筋が伸びました。
私はこの方を、勝手に「天草製作所本店の名誉スタッフ」と呼んでいます。
毎朝の笑顔、言葉、姿勢、その全部が、見えないけど大事な力になっています。
昭和を支え、今もなお、自分の居場所で輝いているお父さん。
その背中に、今日も元気をもらっています。