年内の修理受付はすでに終了し、
現在は【受付のみ・30日まで営業】という年末モードの天草製作所本店。
そんな中、一本の電話がありました。
「年末に故郷へ帰省するのですが、
母がずっと欲しがっていた
マルジェラのタビブーツをプレゼントしたくて、
靴底にハーフラバーを貼ってもらえませんか？」
内容が内容です。
迷う理由はありません。
「かしこまりました。お任せください。」
本日、オープン前に引き取りに来られ、
無事お渡し完了。
お客様も30日までお仕事とのこと。
年末のタイトなスケジュールの中、
なんとか間に合って、こちらもホッとしました。
しかし、正直なところ
少し気になってしまいました。
お客様は20代と思われる若さ。
その方が、
マルジェラのタビブーツ（20万円超）をお母様にプレゼント？
しかも
メルカリやアウトレットではなく、
表参道の直営店で購入。
……気になって、つい聞いてしまいました。
「そんな高価なものを、お母様に？」
すると、少し照れたように
こう返ってきました。
「欲しがっていたので。
お年玉とか、ちょこちょこ貯めていて。
あ、分割払いですけどね（笑）」
その一言で、すべてが腑に落ちました。
見栄でも無理でもなく、
ちゃんと考えて、ちゃんと選んだプレゼント。
しかもサプライズとのこと。
「喜んでくれるかどうか…」と、
少し不安そうな表情も印象的でした。
ちなみにこのお客様、
今、勢いのある雑貨屋さんの店長さん。
なるほど。
雑貨屋さん特有の、
柔らかくて、心地よい空気感をまとった方でした。
顔出しはNGですが、
佇まいと会話から、
優しさが溢れていました。
モノを直す仕事をしていると、
こういう“想いの乗った瞬間”に立ち会えることがあります。
年末の慌ただしい中で、
とても良い締めくくりになりました。
ありがとうございました。