お客様の笑顔シリーズ VOL139 今日、ここで交わした小さな買い物。

本日のお客様は、
お隣のマンション建設工事の警備員さん。

新年から担当が変わり、
朝になると必ずこちらを見て、
深く、丁寧に挨拶をしてくださいます。

警備の仕事は、
寒さ、暑さ、雨、雪――
逃げ場のない環境の中で、
ただ“立ち続ける”仕事。

住民の方、通行人、車。
すべてを受け止めながら、
現場を守る立場です。

若い人がなかなか選ばない仕事を、
高齢の方々が、黙々と支えている。
その現実が、ここにはあります。


そんな警備員さんが、
今日、ふらりと店に入ってこられました。

「これ、ライター入るかな?」

はい、大丈夫です。
ライター入れとして作っています。

少し考えてから、
「じゃあ、これ買うよ」と一言。

店内で革を手に取り、
くん、と静かに匂いを確かめて
「革の匂いがいいねぇ」と、
ほんの少し笑われました。

さらに
「靴墨もある?」
「たまに革靴、履くからさ」

靴クリームも、
今日ここで一緒に購入してくださいました。


お会計の時、
「足したもの買えないけど、ごめんなさいね」と言いながら、
少しくしゃっとしたお札を、
恥ずかしそうに差し出されました。

その仕草が、
なぜか胸に残りました。


以前いらした警備員さんのことも、思い出します。

真夏、
トラックの出入りで敷かれた鉄板の上に立ち続け、
靴底が熱で剥がれてしまった。

「付けてくれる?」と来られましたが、
修理代をお伝えすると
「2,000円で買った靴だから」と、
サイズの合っていない靴を
恥ずかしそうに下げて帰られました。


高齢の警備員さん、お二人。

多くは語らず、
多くを求めず、
それでも毎日、現場に立つ。

そのくしゃっとした笑顔に、
この国の底力のようなものを感じます。


今日、ここで交わした
小さな買い物。

でも確かに、
心が通った時間でした。

寒い中、本当にお疲れ様です。
ありがとうございます。

日本、ありがとう。


そして、この場所。

2024年5月から始まった
ビル解体。

そこから、
マンション建設へ。

完成は
2026年3月予定。

警備員さんの交代も、
季節の移り変わりも、
毎朝の挨拶も、
すべてこの工事と一緒にありました。

2年かぁ。
長かったな。

そう思えるのは、
きっとここに
人の時間が流れていたから。

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