番外編|浪漫の受付

本日お預かりした一足。
正直に言います。
かなり……いや、相当くたびれています。

多くの方なら、
「もう捨てたら?」
そう言われてもおかしくない状態。

でも、分かる人には分かる。
これは“まだ履きたい靴”です。

ご来店されたのは、
1〜2歳くらいの赤ちゃんを前に抱っこした
30〜40代の男性。

この靴は古靴屋で購入されたもので、
「鑑賞用で」と言われていた一足。
それでも、どうしても履きたくて履いた結果、
ここまでボロボロになったそうです。

そして、静かに一言。
「革を継ぎ足して修理してください。
 予算は3万円で。」

……本気だな、と。
金額も、決して的外れじゃない。

さらに驚いたのは、ここからです。
修理に持ち込まれる靴は、
正直、汚れたままのことも少なくありません。

ですが、この靴。
きちんと汚れを落とし、
デリケートクリームで保湿までされていました。

よく見ると、
クリームの拭き残しが、ほんの少し。

それがもう、本気の証拠

これは
「直してほしい靴」ではありません。
**「また一緒に歩きたい靴」**です。

年代はおそらく
Church’sの1980〜90年代あたり。

分かりました。
必ず、いい感じに仕上げます。

この気持ち、
たぶん男にしか分からない。

久しぶりに、
浪漫を感じた修理依頼でした。

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